こんにちは、インテリアコーディネーターの ほんだなつこ です。
前回のブログに続いて、今回は北九州市立美術館で開催されていた「磯崎新の原点」展の展示風景を、撮影OKだった展示とともに振り返ってみたいと思います。

模型と図面、アートとしての建築
会場には、思わずカメラを向けたくなる展示がたくさんありました。
建築模型、図面、そして建物を描いた版画のようなアート作品たち。
普段なかなか目にすることのない「建物を真上から見た姿」や、内部構造の断面など、知らなかった建築の一面にワクワクが止まりませんでした。

建築って、眺める角度が変わるとこんなにも表情を変えるんだなぁと、改めて実感。
「お気に入り」の原点だった図書館
インテリアコーディネーターになりたての頃の会社員時代。
磯崎さんの名前も知らずに通っていた場所があります。
それが、北九州市立中央図書館。あーこれも磯崎新作品だったんだと。


インターネットなんてなかった時代。
「ちょっと調べものに行ってきまーす!」と向かうのは、いつも図書館。
インテリア雑誌や建築の本を静かな空間で、読み漁ることが好きでした。
私の原点ともいえるひとつの場所。
見惚れる椅子、モンローチェア
建築の展示の中に、椅子も展示するのか、という驚きの 「モンローチェア」

このフォルム。
ぐんと背が伸びたようなラインに、キリッとした縦ストライプ。
柔らかな曲線とが正面から見ると硬い直線。2つが同居する、不思議な存在感。
これは座るより、眺めていたい椅子。
空間に置かれたときの姿が、まるで彫刻作品のようでした。

岩田学園の模型
展示されていた模型の中で、私が特に印象に残ったのが「岩田学園」。

代表的な校舎である「1号館」と「2号館」は、まるで向かい合って対話しているかのような佇まい。
学校関係者がそう評したというエピソードも、思わずうなずいてしまう建築の構え。
力強い垂直に立ち上がる構造と、高さの違う庇がアクセントとなって空間にリズムを生み出しています。
模型をみると積み木のようなかわいらしさもあります。
自由な発想ともいえる建物の中で学ぶ時間は貴重な思い出になっているだろうなぁとうらやましくも思います。
そして今もこの校舎が使われていることに感謝したくなります。
躍動するフォルム—大分県医師会館
印象的な丸みを帯びた形状と、舞台のような構造が目を引く「大分県医師会館」。

模型で見るとその曲線のつながりや、建物全体の構成がよくわかり、まさに彫刻的建築。
力強さとやわらかさが同居しているような、不思議な魅力に惹き込まれました。
街に浮かぶ構造体—福岡シティ銀行(現・西日本シティ銀行)
今回の展示でも存在感を放っていた、福岡シティ銀行の建築模型。


直線で構成された重厚なファサードと、手前にせり出したガラスのキャノピー部分が印象的。
ベース部分の円柱とシャープな上層部の対比が美しく、まるで都市の中に浮かぶ構造体のような建築です。
アートプラザ、かつての図書館の変身
現在はアートプラザとして活用されている、旧・大分県立図書館も展示されていました。

大きな梁が力強く突き出したような意匠、スロープの流れと水平ラインの構成。コンクリート打ちっぱなしの素材感が建物全体を引き締めています。
この建物の変遷からも、空間に流れる時間や人の営みと、建築の関係性を強く感じました。
建築は、家具やアートと一緒に生きている
展示を通して一番感じたのは、磯崎新氏の建築が「建物」だけで完結していないこと。
椅子などの家具、近隣の風景、そこに訪れる人々の存在を含めての建築になっていました。


その統合感は、ただの空間づくりではなく、「体験をデザインする」ということなのだと感じさせてくれました。


おわりに
展示の会期はすでに終了していますが、磯崎新という建築家の想いは、今も建物の中で生き続けていました。
写真と記憶を頼りに、もう一度、彼の空間をじっくり味わうことができた素敵な展示でした。
そして私自身も、これから空間をデザインしていくうえで、もっと自由に、もっと大胆に想像してみよう。
そんな気持ちをくれた展示でもありました。
身近にある磯崎建築にまた足を運んでみようと思います。

インテリアコーディネートほんだなのHP
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https://interior-hondana.com/
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